Les Sang et Or

Jリーグ名古屋グランパスサポの日記です。

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代表,リスタートにあたって。

先日のイエメン戦後の,日本代表監督イヴィツァ・オシムの会見コメントに,
「来月,イエメンでアウェイの試合を行います。その時,イエメンは全く違うチームになるでしょう。ギリシャ神話に似た話があるのですが,自分たちの土地を再び踏みしめた時に、彼らの体内に大きなエネルギーが満ちる…。そういう効果をホームのイエメンに起こすかもしれません。」(J's GOAL
という一節がありました。

ギリシャ神話なんてずいぶん長いこと読んでいませんでしたが,ああオシムが言っているのは,ヘラクレスの相撲の話だなとすぐ思い出しました。


・・・その昔リビアにアンタイオスという名の王がいて,その地を通りがかった旅人に相撲(※古代ギリシャだから,正確にはレスリングorパンクラチオンだろうな・・)を挑んでは,必ず勝っては殺してしまっていた。

アンタイオスは巨人(titan)である上,大地に身体が触れる度に力が増すという不思議な能力があり,誰も彼に勝つことはできなかった。
それもそのはず,彼は,海神ポセイドンと大地の女神ガイアの子であり,「(文字通り)母なる大地」に触れている限り無敵であったのである。

たまさかこの土地を訪れたのが,ギリシャ神話の中でも英雄の中の英雄ヘラクレス。やはりアンタイオスに相撲を挑まれる。
さしものヘラクレスも,足の裏でもどこでも大地に触れてさえいれば力が湧き出るアンタイオスには苦戦するが,やがて身体を大地から引き離せばその力を封じられることに気づき,アンタイオスを宙高く抱き上げて締め殺し,見事に勝利した・・・


僕はてっきり,この巨人アンタイオス退治も,有名な「ヘラクレスの12の難行」(参照:Wikipedia)の1つだと誤解してたのですが,調べてみると違っていました。
この話はどうやら,ヘラクレスが,ヘスペリデスの花園から黄金の林檎を取ってくる道中のエピソードで,いわば余録的な話なのです。

にもかかわらず,かなり強烈に覚えているというのは,やはりヘラクレスの知略の鮮やかさが幼心にも印象的だったからでしょう。
ちなみに,他のギリシャ神話同様,このヘラクレスとアンタイオスの話も西洋美術のネタになっていて,例えば,
 1475_pol1.jpg こんなのとか,
hercul1.jpg こんなのがあります。

オシムが,ヘラクレスがどうやってアンタイオスに勝ったかということまで考えながら冒頭のコメントを言ったかどうかはわかりません。
けれど,これだけは言えます。
ヘラクレスは単純に力で勝ったのではなく,相手を冷静に観察して,そのストロングポイント/ウィークポイントを的確に見定め,もっとも論理的でもっとも効果的な方法を選択することによって,勝利したのです。
サッカー,否,あらゆるスポーツを考えるうえで,非常に示唆的だと思いませんか?

オシムのコメントを聞いていると,このような要らないことまでついつい徒然に考えてしまいます。彼の言葉にある果てしない深淵・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いきなり話が変わりますが,僕は,いつぞやのエントリーでも書いたように,多くの方と同じく,今回のイヴィツァ・オシムの日本代表監督就任の経緯に対して,非常に批判的です。
 それは,僕の中に,他ならぬジェフユナイテッド市原・千葉のサポーターに対する負い目があるということも深く影響しています。
僕は,ヴァスティッチのデビュー戦となった松本でのジェフ戦で,アルウィンから歩いて帰る道すがら,ジェフのレプリカシャツを着た女の子たちを追い抜いたときに,明らかに僕に聞かせようとする意図で発せられた,「いや~ね,お金があるって!」というあの一言を,一生忘れることはないでしょう。
それは,ベルデニック強奪劇からまだ日が浅い,2002年7月のことでした。

その瞬間,僕は,「ああ自分は,自分がこれまで培ったサッカー観から忌み嫌ってきた『金満で傲慢なクラブ』のサポーターなのだな」ということを思い知らされ,穴があったら入りたいような気分に襲われたのです。ナイーヴな奴と笑ってください。

しかし,だからといって応援するクラブを変えるわけにはいきません。イングランドの格言にも言うように,「車も家も,妻でさえも変えられる。しかし,好きなチームだけは変えられない」のであります。
名古屋で生まれ育ってしまった僕にとって,この地をホームとするクラブを応援するということは,予め定められた宿命であり,そこに抗う余地はありません。個人的には,それがクラブサッカーに定められた暗黙の「ルール」だと思っています。

翌2003年,我らが"ピクシー"ドラガン・ストイコビッチにも,また,イヴォ・ヴァスティッチにもとても縁の深い,元ユーゴスラビア代表監督にして,オーストリア1部シュトゥルム・グラーツ監督イヴィツァ・オシムが,ジェフの監督に就任するという話を聞きました。

僕は,名古屋戦以外における(苦笑),彼のジェフでの成功を祈りました。

その後オシムは期待に違わず,激しく人がムーヴする素晴らしくダイナミックなサッカーを我々に見せてくれたばかりか,間瀬秀一という優れた人材を通訳に得て,こちらの知的好奇心を激しく刺激し,感情の奥底を揺さぶる語録の数々を披露してくれました。

僕は,ジェフの躍進をうらやましく思う一方で,ジェフに対して感じていた負い目のようなものも自分の中で小さくなっていく気がしていました。

やがて僕は,「オシムのような人がいつか代表監督を引き受けてくれたらどんなに幸せだろうか」という気持ちを当然持つに至り,そのたびに「高齢だし,病気だし,もう代表の仕事はしないと言ってるし」と,それは無理なことだと自分に言い聞かせてきました。
でも,一番大きかったのは「ジェフがリーグ優勝していないのに」という気持ちだったかもしれません。

ところがです。
ドイツW杯で代表が敗退した後,川淵会長のあの発言があり,オシムは,ジェフから「強奪」されようとしていました。
よりによってJFAが,よりによってジェフから,あのときの名古屋と同じことを・・・
僕は,ジェフサポが納得いかないような形で,オシムが代表監督になることを決して許すことはできませんでした。
そして,Jリーグそのものが舐められたことを我慢できませんでした。
あくまでも「代表強化のため」にJリーグを作った川淵三郎からしてみれば,求められさえすれば,Jクラブが選手のみならず監督をも代表に差し出すというのは,ある意味で当然のことなのかもしれません。
しかし,もはやJリーグはあなただけのものではない!

残念ながら,ご承知のとおり,ジェフサポの願いは通じず,オシムの代表監督就任が決まりました。
今,ジェフサポは非常にアンヴィヴァレンツな思いで代表を見守っていると思います。
そして,僕もまた。
・・・先日家で雑誌を読んでいたら,3歳になる子どもが,ジェフのジャージを着ているオシムの写真を指さして「これは誰?」と聞くのです。「この人はオシム。日本の・・代表の・・監督だ」と答えた途端に,何故だか涙が出てきてしまいました。あれは一体何の涙だったんだろうナ・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

こういう葛藤を抱えている一方で,一人のサッカーファンとして,缶詰にしんさんがこのエントリーでおっしゃるように,「代表に関してこういうふうに深読みできるという環境が作られたことがとにかく楽しくてたまらない」自分がいることも否定できないでいます。

オシムのサッカーは,選手にもコーチにも,そして,マスコミにも観客にも,与えられた物事を疑え,自分の目で見て,頭脳で考えろ,と語りかけてきます。
ヘラクレスがどうやってアンタイオスに勝ったか?
おそらくオシムの頭の中には,高地での戦いとなる,アウェイのイエメン戦のプランが既にあるのでしょう・・それがどのようなものなのか・・

我々にとって,オシムと過ごす数年間は,真に「面白い」知的体験となるでしょう。
それを心から楽しみたいと思っています。

名探偵ポアロではないですが,自分もこの「灰色の脳細胞」をフル回転させていきたい。そうして,少しでもサッカーの高みを見てみたい。
その気持ちを抑えきれないでいます。

今後,イヴィツァ・オシムとそのチームについて考えたことを少しずつ書いていくと思います。
どうかそのことを許していただきたく思います。

誰にって?
・・・自分の良心に。

・・・そういえば,ポアロの「エルキュール(Hercule)」という名の由来も,「ヘラクレス(Herakles)」(ローマ神話ではヘルクレス(Hercules))から来ているって知ってました?
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  1. 2006/08/18(金) 18:58:46|
  2. サッカー
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:4
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コメント

好きなチームは変えられない

いいんです。
負い目に感じることは何もない。
言いたい奴には言わせておけばいい。
(少なくとも名古屋に関してはね)

もっとも、サブロー君のやり方はきっと誰も納得してないでしょう…

とりあえず、代表の試合を頭を使って見られることと、
消えた2つのオアシスのうち、1つは復活してくれそうな事が
今の幸せかと…
  1. 2006/08/18(金) 22:45:06 |
  2. URL |
  3. やす #-
  4. [ 編集]

 先週の試合もそうでした。「愛してーる!お金大好き♪・・・」、甲府のチームのクオリティより、我が軍の”個人のクオリティ”=大枚はたいた、が撃墜しました。でも・・・私も”貧乏な中堅クラブ”が好きですが、現場を取り仕切る方々のことを思うと一概には言えません。今楽天の監督さんも、暗黒時代の関西地方の球団に就任した時、あほなオーナーが”監督さえ優秀なら勝てる”と勘違いしているところに、一発!「お金がかかりますよ!」とかましたそうです。あの知将が。そして某東京の球団の”大型補強”にも、「当然!」と言ったのです。(もっとも使い方が間違っているとも付け加えましたが・・・球団が努力するのは当たり前だと)世知辛い世の中、知力や努力は尊いものですが、”財力”も重要なファクターであることの否定もできません。”貧乏で強い”のが一番いいんだけど。
 それにしてもサッカー協会(なのか?)はたいした努力もせず、あんなに財力があるなら、国民に還元してほしいと思うのだが・・・。ついでに今度「いやーね、お金があるって!」と言われたら堂々と返しましょう。「うらやましいだろっ!びんぼーにんっ!・・・使い方はまちがってるけどね!」 
  1. 2006/08/18(金) 23:50:38 |
  2. URL |
  3. ひでのり #-
  4. [ 編集]

やっぱあれ

高くね?

もっとも、おいらは生のA代表の試合って「素さんの伝説のループ(徒花)」だけなんけどね…
  1. 2006/08/19(土) 00:33:07 |
  2. URL |
  3. やす #-
  4. [ 編集]

コメントありがとうございます

こんなどうしようもない感傷的な文章にお優しいフォローありがとうございます。
これを書かないと自分のなかで整理がつかなかったんで・・

「お金のないのは首がないのと一緒」ですから,ないよりある方がいいに決まってますね。
だから僕の言ってることは,所詮,食うのに困ったことがない金持ちのボンボンがロマンチシズムだけで語っちゃってるたわごとですよ。それは自分でも嫌になるほどわかってます。

まあ,最近我がクラブもちょっとは金の使い方が是正されてきているような気もしないでもないですが。いややっぱり気のせいかな?

  1. 2006/08/21(月) 01:37:54 |
  2. URL |
  3. astin #-
  4. [ 編集]

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パンクラチオンImage:UffiziFlorenceWrestlers.jpg|thumb|200px|right|パンクラチオンの像パンクラチオン(英:Pankration)は、古代ギリシャのスポーツ、格闘技、あるいはその近代版同名競技/格闘技。古代パンクラチオンは打撃技と組技(グラップリング)
  1. 2007/02/15(木) 17:48:13 |
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