Les Sang et Or

Jリーグ名古屋グランパスサポの日記です。

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ガッザの涙

ガッザの涙

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80/90年代イングランド・フットボールシーンが誇る最高のトリック・スター,ポール"ガッザ"ガスコインが,自らの身をカンナで削るがごとくして世に送り出した半生記"Gazza My Story"の邦訳。
2005年度英国最優秀スポーツブック賞を受賞した原著を,職人東本貢司の名調子で読むことのできる幸せ。

がっちりしたその体形に似つかわぬ繊細なボールタッチと,テクニカルかつインテリジェンスあふれるプレーで見る者すべてを魅了したこの天才MFはまた,私生活におけるアルコール絡みの数多くのトラブルや,妻へのDVなどで,タブロイド紙の常連でもあった。

そのアンビバレンツ,存在としての危うさ。
当時,誰もが疑問に思っていたはずだ,どうしてあれほどの天賦の才に恵まれた選手が,こうまでめちゃくちゃな私生活を?

ガッザがこの本を書かねばならなかった理由,それこそが上記の疑問に対する答えだ。
何故,彼は,こんな,狂おしいまでに赤裸々に,自らの闇の部分までをもさらけだすような本を書かなければ,ならなかったのか。

本書の邦題であり,カバー写真にも用いられている「ガッザの涙」は,90年イタリアW杯の準決勝西ドイツ戦において,PK戦の末イングランドの敗退が決まって号泣した有名なシーンからとられている。
第26章冒頭の精神科医のコメント。「痛いから泣く。そういう人々もいる。だが,ガスコインの場合は違う。彼は我が身に絶望して泣いた」
そう,彼はもっともっと早く癒される必要があった・・・

プロローグで語られる,アルコール依存症と鬱病の治療のため入院したクリニックで,セラピーの一環として彼が始めた人生のチャートマップ作り。自己の人生との対面という意味でいわゆる「内観法」に近いと思われる,このセラピーなしには,おそらくこの本がここまでの奥深さを持つことはありえなかった。

自己との対面によって,次第に明らかになってくる,ほんとうのポール・ガスコインの姿。

 「ガッザ」というエンタテイメントで刹那的な人格と折り合いをつけられないでいる,素朴で退屈な一人の田舎者。
 繰り返し語られる,「死」に対する根源的な恐怖のイメージ。
 鬱病,強迫観念,妄執,チック,自殺願望・・・
 やがて訪れる,アルコール,煙草,ドラッグへの依存・・・

一読すればすぐわかるように,この本は前半と後半とでまったく異なる二つの顔をしている。前半のとことんバカげた冗談話,後半立て続けに襲いくる悲劇。
しかし,僕はむしろ前半部分のなかにこそ,彼の真の哀しみを見てしまうのだ。その天衣無縫なバカ騒ぎの裏に,いったいどれだけの闇がひそんでいたのか・・・

終盤,彼はこう語る。
「ぼくの人生のガッザのステージはもうお終いにしよう」と。
その言葉の持つもの哀しさよ。
そしてありのままの自分と向き合い,明日を生きようとする勇気よ。

それはハッピーエンドか?
・・・そうに決まっている。
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  1. 2006/05/29(月) 19:33:47|
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