Les Sang et Or

Jリーグ名古屋グランパスサポの日記です。

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イヴォ・ヴァスティッチのシュート(3)

あの市原戦の退場以後,ヴァスティッチはめっきり調子を落とし,それに伴って名古屋の成績も下降線をたどる一方だった。

ヴァスティッチが突然不調に陥った原因はわからない。
よく言われている,ユーロ2004の予選のためにヨーロッパと日本を行き来する生活で疲労がたまった,というのは当たっていない,と僕は思う。
確かに,このときヨーロッパではユーロの予選が既に始まってはいた。しかし,ヴァスティッチがこの予選のために名古屋の試合を欠場したのは序盤の1試合だけ。
この一度の経験で懲りたのか,その後彼は,オランダとの重要なゲームを間近に控えているにも拘わらず,10月初旬に自ら監督に申し出て代表を外れているのだ。
疲労が原因でないとすると何だろう。それは,もしかすると,審判に対するストレスだったかもしれないが,今となっては知るよしもない。

結局名古屋は,2002年の2ndステージを5勝1分9敗,勝点16の13位で終了。
1stステージの成績が嘘のような低迷ぶりだった。この年は,天皇杯もベスト8で敗退して失意のシーズンを終えた。


巻き直しを図った翌2003年の1stステージ,名古屋は最初の5試合を1勝4分。
無敗でこそあったが,勝ちきれないドローゲームばかりで,勝ち点は伸び悩んでいた。
そんななか,衝撃的なニュースが走る。
クラブがヴァスティッチとの契約を延長せず,5月の契約期間満了によって,彼が退団するというのだ。
ヴァスティッチとは1年間の契約だったが,サポは皆,当然契約が延長されて6月以降もチームに残ってくれるものと思いこんでいた。まさに青天の霹靂。
彼自身は契約延長を望んだが,クラブが拒絶したという。

これについても,事の真相はわからない。
プレースタイルが「後方に引き過ぎだ」と見られ,得点が取れないことの責任を被せられたのだとも,日本の審判に嫌気がさしていたヴァスティッチがとても払いきれないような金額をふっかけてクラブに契約延長を断念させたのだとも言われているが・・。

ともかく,ニュースを知ったサポは怒り嘆き,次々と彼の残留を望む声を挙げた。
監督であるベルデニックも,ヴァスティッチの契約延長を希望していた。
しかし,クラブの決定が覆ることはなく,彼は5月いっぱいで名古屋を去るということになってしまった。
5月24日,第10節,アウェイ磐田戦が彼のラスト・ゲームになる・・・
はずだった。


2003年5月18日,名古屋は,ホーム豊田スタジアムにベガルタ仙台を迎える。
これがヴァスティッチにとって,ホームでの最後となる試合だった。
僕たちは,彼のホーム最終戦を見届けないわけにはいかなかった。

試合は,前半41分,仙台が先制。
FW佐藤寿人が左サイドから送ったピッチを横断するロングクロスに,ファーサイドに走り込んだMF岩本輝雄がダイレクトボレーを合わせる見事なゴール。左サイドMFが本職の岩本だが,この試合では右サイドに入っていた。
前半はそのまま0-1のビハインドで終了。

「イヴォの最後のホームで負けるわけにはいかない!」
後半,僕たちは,ありったけの大声を張り上げてコールを送り続けた。

サッカーの神様がその声を聞き届けてくださったのは後半29分だった。
MF藤本主税がカーブをかけて放ったミドルシュートが,美しい放物線を描いてネットを揺らし,同点。
その瞬間突き上がる無数の拳,誰彼なく抱き合って歓喜するスタジアム。
彼の代名詞である阿波踊りパフォーマンスを封印して素早く自陣に帰る藤本。
「ぜったいに勝つ!」燃え上がるスタンド。

誰も皆,同点の興奮さめやらぬとき,その悲劇はやってきた。

ヴァスティッチがファール。ホイッスルが吹かれる。ヴァスティッチの元に歩み寄る主審,胸のポケットに手をやっている。その仕草の意味するところは,一つだ。
ポケットから取り出された黄色いカード。

まだだいぶ興奮していた僕たちが,そのカードの重さを悟るまで,少々の時間と会話を要した。
「3枚目?」「3枚目だよ」「次出れない?」「そうなるな」「これが最後?」「最後・・」「まさか!」
この試合までに2回の警告を受けていたヴァスティッチは,累積による出場停止にリーチがかかっていた。

主審は,無情にもヴァスティッチに対してイエローカードを掲示し,
そのとき,
この試合こそが,
彼の,日本での最後の試合になるということが決まったのだった。

いっせいに巻きおこる「イヴォ」コール。
この試合は,この試合だけは,勝たなければならない!

一斉攻撃をかける名古屋。しかしシュートが枠に届かない。時計の針が進む。
勝ち越し点を挙げることができないまま,試合はロスタイムに突入した。第4審判が示したロスタイムの目安はわずかに「3分」。点を取りたい方からすれば,一瞬だ。

貴重な3分間は,文字通り「あっ」という間に過ぎ去ってしまった。
大森からのクロスをヴァスティッチがダイレクトで合わせたシュートが大きく外れていき,そのとき,ホイッスルが鳴った。
「終わっちまった・・・」
僕は,がっくりと膝に手をつきそうになった。

だが,その笛は試合終了の笛ではなかった。
(つづく)
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  1. 2006/05/12(金) 21:26:14|
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あんな馬鹿馬鹿しいもの
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